境内の四季200904 of 慶蔵院<境内の四季>

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2009.04

2009.4.30

境内の木々の若葉

境内の木々の若葉

 阿弥陀経の中に「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光、微妙香潔」とあります。意訳しますと、「青色の花からは青の光が、黄色の花からは黄の光が、赤色の花からは赤の光が、白色の花からは白の光がはなたれ、美しく香りも清らかです」となります。
 若葉の色の違いを見ていると、本当に自然の不可思議な力を感じます。それぞれが違っていて、それぞれが自己を主張しています。それでいて、それぞれが溶け合い、それぞれを受け入れているのです。人間もこうありたいものだ。このように美しくありたいものだとつくづく思います。
  光り受け光り放ちし若葉かな  格也

2009.4.26

タツナミソウ

タツナミソウ

 打ち寄せてくる波頭に見立てて、立波草の名があるといいます。境内には今、薄紫色、白色、二種類が咲いています。種が飛び、あちこちの隅に咲いています。
 10年以上も前になりますが、鳥羽市の加茂川にせりだした山の崖に、かたまって咲いていた立浪草を見たことがあります。美しさと迫力に、圧倒されました。自然、野生の力です。その点、境内の立浪草は、なにかしら、おとなしく咲いています。
    おだやかな日射し届きし立浪草  格也

2009.4.24

テイカカズラ

テイカカズラ

 境内の西側を掃除していて、名前のわからないツル性の花を見つけたのは、数年前です。よい香りもします。切るのをやめました。
 翌年には、ツルが伸びやすいようにと竹をそえてやりました。
 昨年、アケビのように紐を張りました。
 今年、どんどん伸びて、しっかり花をつけてくれました。この花は万葉集にも「いはつな」と詠まれている「テイカカズラ」でした。
   「いはつなのまたをちかへりあをによし
      奈良の都をまた見なむかも」  
       (6・一〇四六  作者不詳)

2009.4.23

欅の若葉

欅

 今日はめずらしく風の強い日でした。
 外に出て草を引いていると寒いほどです。欅の梢をゆらせつつ、吹きぬけていく風の音が、ゴーゴーと背中までとどきます。
 不思議と風の吹いた日の翌朝には、ひときわ大きく成長した若葉が見られるように思います。明日が楽しみです。
                             草引けば背中に届く風の音  格也

2009.4.22

公孫樹(3)

公孫樹

 昨日からの雨が上がると、たった一日で境内の様子がいっぺんに変わりました。青葉、若葉の季節に入った・・・という感じです。
 公孫樹の変化をくらべてみて下さい。葉の間から透けていた青空が見えなくなりました。まだ葉が完全には成長しきっていませんが、ぐっと存在感を増してきています。
 私がまだ小学校の頃に、祖父が玄関に出て、公孫樹をながめながら、
「もうじき、必ず毎年一羽だけ飛んできて、公孫樹の樹のてっぺんにとまり、いい声で鳴く鳥が来る。不思議に、この頃にやって来る・・・。名前も知らない鳥だ・・・。」
 と、言っていたことを思い出します。私はこれまで時々、この鳥がそうかな・・・と思う時がありました。

          薫風や樹のてつぺんに鳥一羽  格也

2009.4.17

山吹

山吹

 境内の西には、山吹の花が満開となりました。
 黄山吹・白山吹・八重山吹の三種類が同時に咲いています。別名、面影草。
 これまで山吹の黄色、まさに山吹色が大好きでした。しかし、この年となって、白もいいのです。

    黄色より白の似合へり面影草   格也

2009.4.16

公孫樹、一週間の変化

公孫樹
 4月9日の公孫樹の写真とこのページの写真とを写真の画面をクリックして拡大
して、見くらべてみて下さい。
「機関車が近づいてくるみたい・・・」と表現しましたが、ドッドッドッと変化しているのがおわかりになるでしょうか。
 まだまだ変わっていきます。お楽しみに。

   鉄橋を渡る電車や銀杏の芽   格也


2009.4.15

落花

落花
 4月14日の雨に山桜が散りました。
 散った花びらは、もう一度咲いているかのように、境内にひろがっています。濡れているので、風に吹かれていくこともありません。しばらく掃除はおあづけです。
        境内へ天降りをり大桜  
        境内の落花はりつく雨合羽
        雨足へ挟み入りゆく落花かな   格也


2009.4.13

山桜が満開

山桜
 山桜が満開になりました。今では慶蔵院の春の象徴のような樹になっています。
 桜は、枝を切ると枯れてしまうといいますが、この山桜ほど枝を切られてきた樹はないと思います。
 毎年8月15日、境内で踊られる「かんこ踊り」に支障をきたすため、どうしても下に出てきた枝を落とさざるを得ないのです。おまけに火がたかれます。最近では、年4回の浄焚式と除夜の鐘にも火がたかれます。
 この山桜には、ずいぶんと痛い目をさせているのです。それでもこうして春になると、大きく高く枝を伸ばし、花を咲かせてくれます。

                災難も傷も不幸ものみて花  格也

2009.4.9

公孫樹(イチョウ)の芽吹き

公孫樹
  「境内の四季」一年間を通じての統一テーマは、「公孫樹(イチョウ)」
の折々の変化を記録していくことにしたいと思います。
 芽吹いた葉は、一日一日と変化しつづけ、一週間後、二週間後と、まるで蒸気機関車がまっすぐに近づいてくるように、音まで聞こえてくるように、変化していくのです。
 目の前を通り過ぎていく機関車は、あるときはいろいろな人にあふれた客車であったり、あるときは荷物をいっぱい積んだ貨車であったり、音だけがのこる寝台車であったり・・・それらが一年中ずーと、つながって、つながって、通りすぎていくのです。
そして、すべてが通過し終えたとき、今年も終わりとなるのです。一年間をすべて見つめ続けている公孫樹の木の変化を、どうぞみなさんもお楽しみ下さい。

2009.4.8

イタヤカエデの花

イタヤカエデ
  カエデの新芽は真赤ですが、イタヤカエデの新芽は、赤くありません。
 秋になって、大きな葉が色づくわけでもありません。
 葉が大きいことだけが特徴かな・・・と思っていました。ところが、こんな花が咲いたのです。こちらが気付かなかっただけで、なかなかの存在感です。とても新鮮に感じました。

2009.4.7

桜の開花(その2)

桜
 桜の種類、やっぱり違っていました。
 「裏門の桜、開花の時期が大幅にずれている・・・不思議」と書きました(4月3日)。やっと花が咲き出したと思ったら、枝先に赤い芽も出ています。しかも、花の色を比べてみると、こちらは純白です。幹もすべすべしている所が多いのです。
 長年、種類が違っていることに気がつきませんでした。
 植木職人のNさん「大島桜か、山桜系のものでしょう。」と応えてくれました

2009.4.6

ウラシマソウ

ウラシマソウ
 ウラシマソウが開花しました。
 20年ほど前まで、山野草クラブの方々と付き合いのあった母親が、育てていた「鉢」を地植えしたものが残ったものです。
 当初、ユキモチソウと名のついた鉢もありましたが、地植えにして残っているのはこれだけです。
 3~4年様子を見てきましたが、今年はたくさんふえました。しかし、体形は小ぶりなものとなり、花は例年より小さいものとなっています。根の乾燥は絶対禁物と本にありました。少しまわりの草を取りすぎたかも知れません。

2009.4.3

桜の開花に異変

0403桜・ 002.JPG
 3月23日に紹介した山門と裏門の桜。例年は、ほとんど同時に満開の状態になる隣の桜の開花が大幅に遅れているのです。満開をむかえると、二本の桜のトンネルのようになるのです。今年は順々に咲くのでしょうか。虫の被害もなかったし、特に弱っている様子もなく、しっかりとした花芽もふくらんでいるのです。同じ場所にあるのに、どうしたことでしょう。これまで、山桜との違いは意識してきたのですが、桜の種類が違っていたのかも知れません。詳しく観察してみなければ・・・。