2009.11
2009.11.30
ドウダンツツジ
玄関の庭先にあるドウダンツツジの紅葉が美しい。台風でも葉は飛ばされませんでした。10月に植木屋さんに剪定をしてもらったあとの紅葉となりました。
ドウダンとは、「とうだい」から出た言葉で、枝の形が結び灯台の脚に似ているためこの名がついたといいます。つつじ科の落葉低木です。
俳句の季語は春、「満天星の花」と書いて「どうだんのはな」と読みます。
「満天星や谷崎の墓寂一字 肥田埜勝美」と角川の季寄せに出ていました。
ドウダンツツジの紅葉を俳句にと思えば、季語として照葉(てりは)、初紅葉、薄紅葉、紅葉などを入れる必要があります。よく見ると写真の向こうに鬼瓦が置かれていますので…。
満天星の照葉の下に鬼瓦 格也
2009.11.28
ヤマザクラの紅葉
10月8日の台風18号の影響で、葉が大部分落ちてしまった山桜でしたが、残された葉が、完全に紅葉しました。紅葉が始まったのは9月15日、この日の「境内の四季」には、台風の被害を受ける前の山桜の葉が記録されています。見比べてみてください。
ここ2,3日、山桜は、公孫樹の葉と一緒になって、毎日、境内や山門の前の道まで、葉を落としてきましたが、今日は朝から風がつくよ、雨のように後から後から葉が散ってきました。落ちたばかりの葉は、やわらかく、雨ガ降ると境内の土や道路のコンクリートに張りついてしまいます。掃かずにそのままにしておくと、パサパサに乾いて、次第に粉々に砕けてしまうのです。
落葉には落葉のいのち落ちてゐて 格也
2009.11.27
ツタの紅葉
7月31日のこの欄で紹介した黄金虫の食害にあった蔦です。その時、一旦は丸坊主にされてしまいました。しかし、再び芽をだし、初めの葉ほど大きくはなりませんでしたが、なんとか再生を果たし、この葉が紅葉期を迎えたのです。秋の日差しの中で、今日は、一段と輝いています。
この蔦が、毎日、一枚、一枚と散っていきます。12月の中旬には、葉は一枚もなくなり、黄金虫に食べられたときの状態と同じ姿に戻ることになるのでしょう。これほど蔦がやばる前には、高塀の瓦の上を野良猫がゆっくりと渡って行く姿をよく見かけました。道に出る時、どういうわけか野良猫は高塀越えていくのです。振り返ることなく…。
高塀を越えていく猫蔦紅葉 格也
2009.11.24
サザンカ
昔からある老木の山茶花の花が咲き始めました。紅色の花をつけています。めっきり花の数が少なくなったのですが、今回、写真のような、白い斑入りの花が咲いている枝があることに気がつきました。これまであまり気にとめていなかったせいか、気づきませんでした。
斑入りの花は、正面の下枝の二三本に見られます。ほかの花がみな紅色であるのに、このような花が同じ木の一部にのみ咲いていることの不思議さ。これを枝変わりというのでしょうか…。この枝を挿木にすれば、斑入りの山茶花を増やすことができるでしょうか。挑戦してみたいと思います。今の間に枝に印をつけておかなくては…。
山茶花に枝摂りの紐結びをり 格也
2009.11.20
イヌビワの黄葉
境内のあちらこちらに、大きくなったもの、まだ小さなものと数えれば10本を超えるほどの数のイヌビワがあります。黄葉を迎えました。すべて一人生え。小さなイチジクに似た実がなりますから、鳥が種を運ぶのだと思います。
この木の名前、植木屋さんに教えてもらいました。「実はジャムにするとおいしいよ」とも教えてくれました。まだ試していませんが、全部の木から収穫すればかなりのジャムができると思います。
クワ科の落葉低木。暖地の海辺に多い木だそうです。枝を切るとイチジクのように乳汁がでます。写真は、公孫樹の下に生えたもの。犬枇杷は夏の季語。
陽が射して秋のひと日の始まりぬ 格也
2009.11.19
コガネギク
母親がどこかからもらってきて、境内の西の高塀の脇に植えました。それが広がって、毎年何の手入れもしていないのに、こうして花を咲かせてくれます。切り花にすると、何とも言えない良い匂いがします。また、その枝ぶりの良さ。どうしてこんな変化ができるのだろう。自然の創り出す造形の美に驚かされます。
次回の未生流の生け花の勉強には、この菊も切り取って持って行き、ご指導をいただこうと思っています。添えとしてではなく、この菊そのもので生けてみたいと思っています。
西側の土手に、かなり土を置きました。無縁仏の整備の中で出た土です。花が終わったら、時期をみて移植をして行こうとも思っています。
陽だまりを心に抱け冬の菊 格也
2009.11.14
キセンリョウ
裏庭に一株だけ黄色の千両があります。赤色のものと比べて半月ほど遅れて、やっと黄色に色づき始めました。この千両、人間が品種改良によって作り出したものかと思っていましたが、どうもそうではないようなのです。この間、掃除に来てくれている世話人さんと話をしていたら、大仏山に千両を取りに行くと、たまに黄色のものもあるとのことでした。
不思議なことです。千両というと赤のイメージが定着してしまっていますが、はじめから自然界には、赤色も黄色も存在していたということなのですから。
来年は、苔玉作りに挑戦していく年、黄色の千両も実生で増やせるように本腰を入れて取り組んでいこうと思います。
一株は黄の色となり実千両 格也
2009.11.13
ヒイラギ
これも、鳥が運んできて境内に根付いた柊です。山門西側のアジサイの株の間に生えました。草や水仙におおわれて目立っていなかったのですが、今年、無縁仏の整備で余った土を、この周辺に置き、草を埋め、おさえてしまいました。
昨日、掃除をしていて気がつきました。柊の花がこんなに白くて、こんなに美しい花であったのを。裏庭にも、これもまた一人生えですが、かなり大きくなった柊の木が、柚子の木の下にあります。しかし、花が咲いたのを見たことはありません。
12月、赤い実のついた柊を店先で見る機会はありましたが、こうして身近に花を見ることができて幸せです。しかも、鳥が運んできてくれたのですから。
知らぬ間に根付き柊咲きだせり 格也
2009.11.10
サザンカ
このサザンカ、まだ小ぶりの木です。日当たりの悪い垣根の下にあるため、ほとんど目立ちません。古木で、大きくてよく目立つ裏庭の中心のようなサザンカは、歳をとったせいか、このごろほとんど花をつけなくなってきました。
それに引き換え、日影にあっても、目立たなくても、このサザンカ、たくさんの花をつけてくれました。一つひとつの花が、こんなに大きくて、こんなに美しい花を咲かせるサザンカとは知りませんでした。
よく虫がつき、葉が黒くなったりして、花が咲いたことの記憶があまりなかったのですが、元気に花を咲かせてくれたのです。先日、植木屋さんが入っていたときには、蕾が付いているな…と見ていたのですが、一気に咲きだしてくれました。植木屋さんも剪定の対象外にしてくれたようで、蕾のまま切られてしまうことを免れました。合掌。
知らぬ間に陰の山茶花咲いてをり 格也
2009.11.2
イソギク
境内の玄関横に咲いています。この時期に咲きかけて、冬の間中咲き続けています。ぽかぽかと暖かい日には蜂もやってきます。この時期の蜂は刺すことがないので、子どもの頃よく手に載せて遊んだものです。花のない時期に咲いてくれて、目を引きつけてくれるのでとても重宝しています。
どんどん増えます。日影でもふえるのですが、葉が育ちにくく、軸だけが伸びてしまい、姿がみすぼらしくなってしまいます。やはり、日のあたる場所があっているようです。
まだ子供たちが小さかった頃に、伊豆半島を車で一周したことがありましたが、崖にイソギクが群生していた景色は見事でした。
磯菊の時刻みをり落とし水 格也
2009.11.1
センリョウ
少し報告が遅れましたが、数日前に裏庭のすべての千両が色づきました。それほど冷え込んだという感覚はないのですが、晩秋の微妙な気温の変化を確実にとらえつつ、色づいていく千両の不思議さを感じます。
このままの状態が、11月、12月と2か月以上続いて、赤々と裏庭を彩ってくれます。鳥たちも、まだ山に食べ物があるのか、それともまだ美味しくはないのか、この時期に実を啄ばむこと、ほとんどありません。しかし年を越して2月過ぎになると、食べつくされてしまいます。
鳥には申し訳ないのですが、今年の宿題は、年末に、実千両を剪定し、来年に向けてしっかりとした枝を育てることです。忘れずにやりたいと思います。
一株、実が黄色の千両もあるのですが、こちらはまだ色づいていません。
水浴びに小鳥来てをり実千両 格也