境内の四季2010年2月 of 慶蔵院<境内の四季>

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2010年 2月

2010.2.24

ミント

ミント
 表の境内の高塀添いにミントが植わっています。いつも写経をはじめ各種行事に参加してくれるMさんが、ミントティーをくださったのが最初です。あまりにおいしいので、どうやって作っているのかと聞いたところ、「植えておいたらどんどん増えるし、切って干すだけだから」と、苗を何本か持ってきてくれて、この場所に植えてくれました。
 夏には草が茂る場所なのですが、雑草にもまれつつ、しっかりと根付いて増えています。刈り取ったあとには、あたり一面にミントの香りが漂い、空気までひんやりと感じるほどになります。背丈は相当高くなり、50センチほどに伸びます。雑草に打ち勝ちカバーグラスにもなりそうです。
 春光によく似合いけりミントティー 格也

2010.2.23

コチョウワビスケ

コチョウワビスケ
 三十年ものの胡蝶侘助だが、お寺に植えておいてもらいたいといって、何かと親切にしてくれる出入りの植木屋さんがもってきてくれました。樹性は一般には立性で、老木になると横張りになり、水平に展開するものが多いが、成長は遅い…といわれています。境内の樹はすでに横張に、水平に伸びようとしていますから、すでに老境の域に入っているのでしょうか。
 夏に、無縁さんの整地のため余った土を、腐葉土にして周りに敷き詰めてもらいました。今たくさんの蕾をつけ、咲き始めています。本草花蒔絵に「本紅一重極小輪、花開きて曲尺一寸ほど…」とありますように、花は3センチほどの小さなものです。
 咲きだせし曲尺一寸なき椿 格也

2010.2.17

バイモの芽ぶき

バイモ
 境内のあちらこちらにバイモが芽を出してきました。中国原産のユリ科の多年草で、もともと観賞用に栽培されてきましたが、野生化しているものもあります。境内のバイモも、堤防に咲いていたものを持ち帰り、地植えしたものが増えました。和名は貝母と書いてバイモ、漢名の音読みです。
 他の草花に先駆けて、まだ寒さが残っている時期に一斉に咲きだす黄緑色の鐘形の花は、なんとも美しく、慶蔵院の境内に春を告げる第一番の草花です。難点といえば、生け花にできないことです。水揚げが悪いのか、切り採るとすぐに萎れてしまいます。花の時期も短いのです。
 子ら寄せて語るお話花貝母 格也  

2010.2.8

カクレミノのひとり生え

カクレミノ
 昨年10月8日の台風18号で倒れたカクレミノ、今、幹の部分で涅槃像を彫ってもらうために乾燥にかけています。その近くから、このような実生の苗が大きくなってきていることに気がつきました。昨年、無縁墓の整備中には気がつかなかったのですが、いつのまにかこんなに大きくなっていました。
 通路際に生えてきているため、大きくなると少々、邪魔になってきてしまう場所です。早い時期に大きく伸ばしてやれる場所を探して、移植をし、二代目のカクレミノとして育て上げてやりたいと思います。それにしても、「いのち」が続いていくという姿をここでも見せてもらっています。10月8日に倒れたことが不思議だったのですが、それは涅槃像に変わるためであり、カクレミノとしての「いのち」は、ちゃんと興して受け継がれていたのだと思います。 
  めぐまれてつながる「いのち」春立てり 格也

2010.2.6

オモトの実

オモトの実
 境内のあちらこちらに無造作に植えられている万年青に実がなっていました。赤くなるまで気がつきませんでした。もう少し早くから赤くなっていたのかもしれませんが…。万年青はユリ科の多年草、昔から有名な観葉植物で、500種類ほどの品種があるそうです。
 境内にある万年青には、ほとんど実がなりません。葉も、一度、植えつけたままになっていて、なんの手入れもしていません。枯れた古い葉もいっしょになっていて貧相にも見えます。冬の季語だろうと思っていましたが、念のため調べてみますと、「万年青の実」、秋の季語になっていました。
 鐘ついて消ゆる音待つ万年青の実 格也