境内の四季2010年3月 of 慶蔵院<境内の四季>

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2010年 3月

2010.3.28

ソメイヨシノ 4

ソメイヨシノ

2010.3.27

モクレン

モクレン

2010.3.26

トサミズキ

トサミズキ
 土佐水木。土佐の山地だけに自生しているのでこの名前がついているのだそうです。マンサク科の落葉低木で、あまり高くなりません。境内の西側、三椏の後ろにあります。葉よりも先に花が咲きます。花は7.、8個ずつ総状に開きます。
 まだ、咲いていますが、私が23日からベトナムに入っている間に。写真に撮って、26日にここに入れておいてくれました。これほど美しい花ではありませんが、簪のようになっているところがよく似ている花に、木五倍子の花(きぶしのはな)があります。花自体はもう少し細く、長くて黄緑色をしていますが、最後の教員生活をおくった鳥羽高校の周辺の山にたくさん自生していました。土佐水木の花を見ると、思い出します。
 土佐みずき思い出すことただひとつ 格也

2010.3.22

ソメイヨシノ 3

ソメイヨシノ
 開花しました。他の枝はまだつぼみが圧倒的に多いのですが、この部分は早咲きです。昨日はお彼岸の中日、たくさんの方がお寺にお参りに来て下さいました。木魚は40個しかありませんが、参詣者全員による木魚念仏が境内に響き渡りました。
 南無阿弥陀仏の声は、境内の桜のつぼみにも確実に伝わります。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…天地は一心、一体、一生命、一活動なり。南無阿弥陀仏の声が桜の蕾の「いのち」を揺さぶり、桜の生命活動の息吹が、私たちの「いのち」の力にと転化していきます。お念仏に生かされ、生かされつつ称えるお念仏は、明るく元気な、生きとし生けるものすべてに幸せをもたらすものであるはずです。
 いのちの灯ともし点して花開く 格也

2010.3.21

ボタン

ボタン
 4日前に取り上げようと写真に撮ってもらったのですが、書く機会をもてずに時期を逸してしまいました。その写真はボツです。今日はもうこんなに葉を広げています。冬じゅう、まったく、枯れてしまったのではないかと思えるほどの枝ぶり状態になっていた牡丹。今年も大輪の花を咲かせてくれることでしょう。母が三種類ほどの牡丹をこの場所に植えました。今残っているのはこれ一株だけです。まわりには貝母が咲き誇っています。
 外に目を奪われることなく、自分に備わった力を信じつつ、あるがままに、あせることなく、自然に任せて伸びていく牡丹に生き方を教わっているかの錯覚を抱きます。自然の摂理です。聞こえてくる声をしっかりと受け入れていきたいものです。
 何もかも知りぬきいまを牡丹かな 格也
 

2010.3.20

ソメイヨシノ 2

ソメイヨシノ
 今日一日、温かい日を授かりました。又、桜のつぼみがほころびかけています。その下を、籐車を押してお檀家さんの「さいへ」さんがやって来ます。
 「こうやって、寺へ来るのがいちばんええ…。もうじき桜も咲いてくる。みんな、仏さんに守られておんのや。ほやから、拝まなあかん。拝んだらわかる。おっさん、私らは先に行くけど、先に行くもんが、ようけおるから、みんな、おっさんにおくってもらわんならんから、おっさんは、体だいじにしてえな。風邪もひかんようにしてえな。」゜
 「さいへ」さんは、釣鐘堂の戦没者の墓を拝み、無縁さんの墓を拝み、開山上人、歴代上人の墓を拝み、地蔵さんを拝み、「おっさん、忙しいやろうけど、体にきをつけてえな」と繰り返して、籐車を軋ませながら、ほころびかけた桜の蕾のしたを帰って行きました。
  伊勢弁の言葉やはらか桜咲く 格也

2010.3.19

満開のバイモ

バイモ
 境内を回ってみると、あちらこちら10か所に上る場所に貝母の花が咲いていました。よく増えたものだと思います。まだ一握りほどが固まって咲いているところの貝母は背丈も低く、ひっそりと咲いていますが、昔からある場所の貝母は、50センチほどに伸びたものが波打つように咲いています。
 蕾がつきかけたころには、貝母を見ると土の温もりの力をまず感じさせられました。それほどに周りの空気は冷たかったのです。しかし、今日は違います。満開の貝母を包む空気は温かく、差し込んでくる光線の輝きは、何本もの細いピアノ線のようになって貝母の軸を交差し、後ろの庭石へ影を落としていました。季語では貝母の花を初百合とか春百合ともいいます。
 春百合の影濃き石の光りけり 格也

2010.3.18

ソメイヨシノの蕾

ソメイヨシノの蕾
 境内裏門を入った、車庫の前にあるソメイヨシノの桜のつぼみが、膨らんで開花寸前となって来ました。境内で一番早く咲く咲きだす桜です。例年より早く、各地から桜の開花の便りが聞こえてきていますが、慶蔵院でもやはり例年より早い開花となりそうです。
 この桜、明日にでも開くかもしれません。これから、徐々に一番遅い山桜の開花まで、順を追って、しばらく境内の桜の開花の状況をお伝えしていこうと思います。
 花が咲き、花が散り、花はなくなっても桜はそこにあるように、私たちの「いのち」もまた、咲いた「いのち」も散った「いのち」も、桜が桜としてつながっているように、連綿としてつながっているという思いが、お念仏をとなえていると、日々強くなってくるのです。
 念仏につながるいのち桜咲く 格也

2010.3.17

ミツマタの花 3

ミツマタ
 3月10日の花の様子と見比べてみてください。一週間たって、ほぼ満開の状態になっています。地蔵堂の奥の庭に一株だけあります。一度、植木屋さんが切り戻したため背は高くありません。本堂の西側よりよく見えるところにあります。
 「あの黄色い花が咲いている木は何の木ですか」とお参りの方から聞かれることがあります。「紙を作る原料になる三椏の花です」と応えると、驚かれて傍にまで見に行かれる方もおられます。近づいてみて、ひとつの花のように見えたのが、いくつもの花の集まりであったということが分かり、ますます三椏の花に興味を持たれるようです。
 三椏の花を不思議と思ひけり  格也

2010.3.12

キンギョバツバキの花

キンギョバツバキ
 おまたせしました。ついに錦魚葉椿が開花しました。春咲き椿らしく、蕾が膨らみかけてからの時間が長かったように思います。10月8日の18号台風で、カクレミノの木が倒れ、この錦魚葉椿の枝を半分近くへし折ってしまいました。しかし、残された部分は元気で、枝に数個の蕾がつき、やっと花が開いたのです。ごらんのように一重の花です。
 このブログを読んでくれている従兄が、錦魚椿の開花を待ってくれていて、「その後、錦魚椿の報告がないが、まだ咲かないのか…」と、ひと月ほど前に電話で聞いてくれていましたので、本日、開花を報告させていただきます。
 待ちくれし椿の開花伝へたり 格也

2010.3.10

ミツマタの花 2

ミツマタ
 三椏の花が、ひと雨、ひと雨ごとに開いてきています。満開までにはまだまだ時間がかかります。風光る輝きの中に、静かに佇むように、黄色い色の薄墨があったならば、それを真綿に含ませたような趣をもって開いていく花びらは、落ち着きある存在感を漂わせています。周りに咲く貝母の花ともよく合います。花らしくない花という点での共通性もあるかもしれません。暖かい日差しの中に咲いているより、冷たい風の中や雨が降っている中に咲いている方が似合っているという点でも、貝母と似ているのかもしれません。いや、そんな時期に咲く花だから、自ずから似ていくという自然の摂理ということでしょうか。
 三椏の花の摂理や佇めり 格也

2010.3.7

バイモの開花

バイモ
 7日の朝、雨に濡れながら貝母が一輪開花していました。今朝、本堂にお参りに見えた方が、「網傘百合が咲いていますね。家のはまだなんさ。あれが咲いたらもう春になったと思います。」と言ってみえました。貝母のことを言っておられるのだとわかりましたが、「網傘百合」という名前は初めて聞きました。なるほど、そういわれればそのとおりです。投網を打ったような、傘のような格好をしています。写真を拡大してご覧ください。雨の雫を葉にためつつ、雫が落ちるたびに上下に揺れながら、音などしないはずなのに、見て感じる音を響かせてくれています。雨にぬれる、咲きだした貝母の美しき一日の始まりです。
 貝母咲く朝の雨のひと雫 格也
 

2010.3.4

ツルギキョウ

ツルギキョウ
 これほど生命力のある花はないのではないでしょうか。カバーグラスとして最高だと思います。境内へ裏門から入ったすぐのところの右側、それに表門に向かって左側奥、さらには本堂の西、無縁墓につながる通路と境内西側の境界にそってたくさん植わっています。どんどんと蔓を伸ばして広がっていきます。
 葉は、冬になっても枯れないのですが、昨年に一度すべて刈り戻しましたところ、いまどんどんと背丈を伸ばしだし、おまけに花も咲かせてくれました。桔梗の花の色をしているのでこの名前があるのでしょう。
 蔓草の花咲いてをり風光る 格也

2010.3.3

コチョウワビスケ 2

コチョウワビスケ
 先に蕾が大きくなった金魚葉椿は、まだ蕾のままだというのに、胡蝶侘助の花は満開となりました。2月23日の写真と見比べてみてください。これほど花が固まって咲くとは知りませんでした。
 出入りの植木屋、中村さんが植えて行ってくれてから、夏に水不足で葉が萎れかけた時があり、枯らしてしまっては大変と、気をつけてきました。特に、腐葉土を含んだ土を、周辺に10センチほど敷き詰めたこともよかったかもしれません。無縁墓の整備の中で余った土を、いつも掃除に来てくれる堀江さんが一輪車で運んでくれました。お茶花に最高という侘助ですが、咲いてしまうとなんと豪華な花であることでしょうか。
 さずかりしご縁の中に椿満つ 格也

2010.3.2

バイモの蕾

バイモ
 三月に入ると一斉に草花が動き出しているようです。貝母の蕾が大きくなりました。もうすぐ開花するまでに成長しています。
 球根でいくらでも増えていきます。草を引いていて球根がでてきたときに集めておいて、境内のあちらこちらに埋めておきました。どこに埋めたのか、場所をしっかり覚えていませんでした。こんなところにも、あんなところにもと固まって芽を出し、蕾をつけています。
 「やうやくに咲きし貝母はさびしき花」とは森田峠の句ですが、私には寂しさは感じられません。草花の中で春先に真っ先に咲きだす「悦びの花」です。それでいてでしゃばらない、心のしっかりした、共に生きる花と感じられ好きです。
 押しあぐる土のちからや貝母咲く 格也

2010.3.1

ミツマタの花

ミツマタ
 昨日のチリ地震による津波警報が解除された今朝、朝の光を浴びて三椏のはなが一輪だけ咲き始めていました。三月です。教師時代、三月一日は複雑な思いが入り混じって迎えた日です。卒業式だからです。担任をしていれば、どうしても式に出なければなりませんから出ました。しかし、担任でない時は、年休を取って、学校にいなかったこともあります。静岡の焼津市で毎年開かれるビキニデーに参加していたこともあります。家で本を読んだり、学校に行くふりをして家をでて、どこかをふらついていたり…どこかといっても近くの山や海、雨の日は喫茶店程度ですが…。なぜか…。まあ、いいでしょう。
 三椏の花は、たったの一輪で、このようなことを思い出させてくれました。
 抜け出して三椏の花見ていたり 格也