2010年 5月
2010.5.25
アマリリス
境内の玄関先の植え込みの中にあります。一本だけがこうして毎年,いつのころからか咲くようになりました。遠い昔の記憶の中にも、この辺に会った記憶があります。50年も前の記憶です。ところがこの植え込みは、この後ろに立っていた納屋・外便所の建設、その後の取り壊し、さらに庫裏の増築にともない、植えこみの中の木犀も含めて、大幅に移植・移転しました。そんな変遷をへて、再びいつのころからか、こうしてアマリリスが一本だけ咲くようになったのです。それが、昔のものなのか、何かの拍子に紛れ込んだものなのかは分かりません。しかし、何もかもを見てきたような、どうどうとした存在感をもって咲き誇っています。
アマリリス咲き誇るなり屋敷跡 格也
2010.5.21
サンショウの実
日本、中国が原産地。ミカン科の落葉小高木。山地に自生していたものが、鳥によって運ばれてきて境内に根付いたものと思われます。雌雄異株のため、実のなるものとならないものがあります。境内にも、三か所に大きな株がありますが、二株は実がなります。
境内の大きな樹の下に、いきなり芽をだしたりしてきます。それを適当な場所に植え替えるのですが、うまく育つ場合とだめな場合があります。どこかで読んだのですが、植え替えて一度、霜にあたると根付くのだそうです。
なんといっても実は重宝で、母親が佃煮の昆布やチリメンジャコと一緒に、炊いてくれますが、こんなにおいしくてご飯がすすむものはありません。自然の恵みです。
鳴りおえし鐘耳にあり山椒の実 格也
2010.5.20
イワフジ
境内の西側の一角に咲いています。庭石の隙間に植わっています。原産地は日本から台湾と言われ、日本南部の川岸に自生している落葉小低木。マメ科。排水性のよい土壌と日照を好むとありますからこの場所は最適であったようです。別名、和名で二ワフジといわれるように、盆栽にもつかわれています。
蔓のように枝を伸ばしますが、それほど大きくは成りません。いつも自然のままにしてあります。庭石の上に垂れかかると夏の日照りに焼かれてしまったりするのですが、丈夫に育っています。派手さはありませんが、草花のような感じがしておとなしい花です。挿し木でも増えるとありました。あちらこちらに増やしていきたいと思います。
藤咲きて大屋根越しに射す朝日 格也
2010.5.17
アヤメ
菖蒲の原種がこれだと思い込んでいるものです。母親がそういうからで、根拠はありません。鳥羽高校のあちらこちらに咲いていたものです。鳥羽高校は、加茂川の河口の芦原を埋め立てて造成された土地の高台に建設された学校で、それまで、あまり人が入っていなかったところでした。ですから、17年前に私が赴任した際にも、学校の周りにいろいろな、珍しい草花、草木の宝庫だったように思います。私は、専門家ではありませんし、また調べるだけの余裕ももっていませんでした。ときどき、散歩をしなから見ていただけでした。しかし、鳥羽高校を退職する時、自分が見て楽しんだものを、そっといただいてきたのです。菖蒲もその一つです。母が、これが原種だといったので、そう信じているのです。今年も、30センチに満たない小さな背丈にこんな花を咲かせてくれました。
丈低き菖蒲に思うこと数多 格也
2010.5.14
ミヤコワスレ
キク科ミヤマヨメナの園芸品種。多年草。花の色は濃紫、桃、白などの種類があります。もともと、ここに咲いていた都忘れは、濃紫のものでした。母親が以前に植えこんだもので、どんどんと増えてきました。
5年前、私が学校を退職する際、学生協の花のカタログに、都忘れの白、桃、薄青、濃紫がセットになって販売されていました。退職の記念に、この花を植えようと、周りに植えこみました。しかし、どうしたものか、ほとんど定着することがありませんでした。ところが、その負の遺産ともいうべき現象が起こりました。濃紫であった都忘れの色が薄くなってしまったのです。色は変わりましたが、母の都忘れは健在です。
日本語に混ざる母国語五月川 格也
2010.5.9
シラン
紫蘭の花が満開です。5月8日の「はなまつり」のお供えの花としてとても役に立ちました。ラン科の多年草、もともと原野の湿ったところに自生してきた花ですが、観賞用として庭に栽培されるようになり、どこにでもある花になりました。しかし、近年どうなんでしょうか。あまり出合わなくなっていて、いいのかな…と心配です。
境内にたくさん増やして、お釈迦様の誕生日に似合う花のひとつとして、重宝させてもらおうと思っています。花が咲いたら早く切り取った方が株は大きくなるそうですから、もっともっと増えていってくれることでしょう。ありがたいことです。やはり旧暦の5月8日こそ「はなまつり」にふさわしいと思います。
垣根越し交わす挨拶紫蘭咲く 格也