境内の四季2010年5月 of 慶蔵院<境内の四季>

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2010年 5月

2010.5.26

インドボダイジュ 1

インドボダイジュ
  芽吹き、去年は6月7日のことでした。この日に新芽が出たのです。ところがどうでしょう。今年は、すでにこんな状態です。てっぺんの葉は、開いてきています。考えられることは、気温が上がりだしたころから、外に出したままにしてきたからかもしれません。
 長く日に当ててきたからだと思います。気温が零度以下に下がると、枯れると聞いています。ですから、冬の夜は、玄関の中にいれるのです。今年は、3月末には外に出してきました。正確な記録を残せませんでしたが、それが早く芽をだした原因だろうと考えられます。観察を続けたいものです。
 何も無き青空に新芽伸ぶ 格也

2010.5.25

アマリリス

アマリリス
  境内の玄関先の植え込みの中にあります。一本だけがこうして毎年,いつのころからか咲くようになりました。遠い昔の記憶の中にも、この辺に会った記憶があります。50年も前の記憶です。ところがこの植え込みは、この後ろに立っていた納屋・外便所の建設、その後の取り壊し、さらに庫裏の増築にともない、植えこみの中の木犀も含めて、大幅に移植・移転しました。そんな変遷をへて、再びいつのころからか、こうしてアマリリスが一本だけ咲くようになったのです。それが、昔のものなのか、何かの拍子に紛れ込んだものなのかは分かりません。しかし、何もかもを見てきたような、どうどうとした存在感をもって咲き誇っています。
 アマリリス咲き誇るなり屋敷跡 格也

2010.5.22

テイカカズラ

テイカカズラ
 昨年は、4月24日に花をいっぱいに咲かせていたテイカカズラですが、今年は一カ月遅れとなりました。最近になって、いっぱいの花を咲かせています。
 ただ、昨年、周りの草を刈り、孟宗竹の間に紐をつないで、その紐にテイカカズラを這わせるようにしたところ、今年は、みごとな広がりを見せてくれました。境内の西側に、隣の家との境界にそって、ちょうど目隠しのように横に広がっています。これが万葉時代から歌に詠まれてきた花だとは、にわかには信じられないほどの現代的感覚を漂わせた花に感じます。
 万緑や日射し集める白き花 格也

2010.5.21

サンショウの実

サンショウ
  日本、中国が原産地。ミカン科の落葉小高木。山地に自生していたものが、鳥によって運ばれてきて境内に根付いたものと思われます。雌雄異株のため、実のなるものとならないものがあります。境内にも、三か所に大きな株がありますが、二株は実がなります。
 境内の大きな樹の下に、いきなり芽をだしたりしてきます。それを適当な場所に植え替えるのですが、うまく育つ場合とだめな場合があります。どこかで読んだのですが、植え替えて一度、霜にあたると根付くのだそうです。
 なんといっても実は重宝で、母親が佃煮の昆布やチリメンジャコと一緒に、炊いてくれますが、こんなにおいしくてご飯がすすむものはありません。自然の恵みです。
 鳴りおえし鐘耳にあり山椒の実 格也

2010.5.20

イワフジ

イワフジ
 境内の西側の一角に咲いています。庭石の隙間に植わっています。原産地は日本から台湾と言われ、日本南部の川岸に自生している落葉小低木。マメ科。排水性のよい土壌と日照を好むとありますからこの場所は最適であったようです。別名、和名で二ワフジといわれるように、盆栽にもつかわれています。
 蔓のように枝を伸ばしますが、それほど大きくは成りません。いつも自然のままにしてあります。庭石の上に垂れかかると夏の日照りに焼かれてしまったりするのですが、丈夫に育っています。派手さはありませんが、草花のような感じがしておとなしい花です。挿し木でも増えるとありました。あちらこちらに増やしていきたいと思います。 
  藤咲きて大屋根越しに射す朝日 格也

2010.5.19

キショウブ

キショウブ
 黄色の花菖蒲、これも鳥羽高校の裏山の清水が流れる周りに一面に咲いていました。水がなくとも育つほどの強さもあって、校舎の裏庭にも沢山咲きました。校務員さんが草を引く代わりに、火炎放射によって校舎の周り焼いていて、株が焼かれても、また芽を出してくる強さに感動しました。しかし、勤めていた12年の間には、校舎の周りにあったものは、全部消えてしまっていました。生徒が煙草を吸わないように、山火事にならないようにと張ったフェンスの向こう側の山裾に、その群生が残りました。学校を去るにあたって、一株いただいてきました。
 退職の記念に掘りし花菖蒲 格也

2010.5.17

アヤメ

アヤメ
 菖蒲の原種がこれだと思い込んでいるものです。母親がそういうからで、根拠はありません。鳥羽高校のあちらこちらに咲いていたものです。鳥羽高校は、加茂川の河口の芦原を埋め立てて造成された土地の高台に建設された学校で、それまで、あまり人が入っていなかったところでした。ですから、17年前に私が赴任した際にも、学校の周りにいろいろな、珍しい草花、草木の宝庫だったように思います。私は、専門家ではありませんし、また調べるだけの余裕ももっていませんでした。ときどき、散歩をしなから見ていただけでした。しかし、鳥羽高校を退職する時、自分が見て楽しんだものを、そっといただいてきたのです。菖蒲もその一つです。母が、これが原種だといったので、そう信じているのです。今年も、30センチに満たない小さな背丈にこんな花を咲かせてくれました。
 丈低き菖蒲に思うこと数多 格也

2010.5.14

ミヤコワスレ

ミヤコワスレ
  キク科ミヤマヨメナの園芸品種。多年草。花の色は濃紫、桃、白などの種類があります。もともと、ここに咲いていた都忘れは、濃紫のものでした。母親が以前に植えこんだもので、どんどんと増えてきました。
 5年前、私が学校を退職する際、学生協の花のカタログに、都忘れの白、桃、薄青、濃紫がセットになって販売されていました。退職の記念に、この花を植えようと、周りに植えこみました。しかし、どうしたものか、ほとんど定着することがありませんでした。ところが、その負の遺産ともいうべき現象が起こりました。濃紫であった都忘れの色が薄くなってしまったのです。色は変わりましたが、母の都忘れは健在です。
 日本語に混ざる母国語五月川 格也

2010.5.11

ヤマボウシ

ヤマボウシ
 雨の中、今日、山法師の花が咲きました。山地に自生するミズキ科の落葉高木。山法師の名前は、蕾の丸い集まりを法師の顔に見立ててつけられたそうです。秋に熟する美が桑の実に似ているので、山桑ともいわれます。
 母親が花水木の木を注文したところ、植木屋さんが届けてくれたのがこの木でした。専門家でも間違うこともあるのです。ミズキ科ですから葉もよく似ています。
 あいにくの雨、葉もたれさがり、花びらのように見える白色四弁の総苞も雨に打たれて萎れてしまっていますが、山法師には雨が似合うように思います。本堂のぬれ縁から望遠で妻が撮影しました。
 ぬれ縁も半分濡れて山帽子 格也

2010.5.10

ニシキギの花

ニシキギの花
 調べていたら錦木もまた山地に自生するとありました。当たり前のことでしょうが、庭木として見慣れていると、本当に山に生えている、その場所で出合いたいと思ってしまいます。幹や枝に羽が着いているのが特徴ですが、これはコルク質で出来ているのだそうです。花は、淡黄緑色の細かい四弁花です。
 まだ葉も出ていない、枝だけを格花に活けたことがありますが、自然の枝ぶりを生かして活けると、なかなか枯れた趣が出てとてもいいものだと思いました。冬は冬に、初夏は初夏に、秋は秋にと楽しめる落葉低木です。
 錦木の花今日帰るとの電話 格也

2010.5.9

シラン

シラン
  紫蘭の花が満開です。5月8日の「はなまつり」のお供えの花としてとても役に立ちました。ラン科の多年草、もともと原野の湿ったところに自生してきた花ですが、観賞用として庭に栽培されるようになり、どこにでもある花になりました。しかし、近年どうなんでしょうか。あまり出合わなくなっていて、いいのかな…と心配です。
 境内にたくさん増やして、お釈迦様の誕生日に似合う花のひとつとして、重宝させてもらおうと思っています。花が咲いたら早く切り取った方が株は大きくなるそうですから、もっともっと増えていってくれることでしょう。ありがたいことです。やはり旧暦の5月8日こそ「はなまつり」にふさわしいと思います。
  垣根越し交わす挨拶紫蘭咲く 格也